いとしのポテトボーイ
「何もしない」と言う雪沢クンの答えが信用できるはずもなく、わたしは急いで下駄箱へ引き返した。
 
A組の下駄箱に宮下クンが降りて来た。

ひとりだ。

わたしは宮下クンに声をかけた。

宮下クンは不思議そうな顔でわたしを見た。

無理もない。

わたしと宮下クンは今まで一度も喋ったことないし、もしかしたら宮下クンはわたしのことなんか全く知らないかも知れない。

「雪沢クンのことが知りたいの」

わたしはそんなふうに話を切り出した。

「雪沢のこと?」

「中学の時、親しかったって聞いたから」

「俺と雪沢が?」

全くのデタラメ。

中学時代、宮下クンは雪沢クンにイジメられていたのに。

「最近、安土クンの悪い噂が流れているでしょ? 雪沢クンと安土クン、仲が良かったから、雪沢クンてどんな子だったのか知りたくて」
< 160 / 202 >

この作品をシェア

pagetop