いとしのポテトボーイ
宮下クンは否定も肯定もせずに、1番奥のテーブルに着いた。
言わせてもらえば、はっきり否定して欲しかった。

わたしだってこんなの趣味じゃないンだから。


宮下クンは勝手にアイスコーヒーを2つ注文すると、ポケットの中からタバコを取り出した。

「オマエは?」

わたしにタバコを勧める宮下クン。

「いらない」

宮下クンは自分だけくわえて火をつけた。

「今でも雪沢、タバコ吸うのか?」

「え?」

「俺にタバコ教えたのは雪沢なんだぜ」

「え?」

「中1の時、無理やり吸わされたんだ。授業中に吸えって脅された。教師にみつかっても、雪沢に脅されたことなんか絶対に言えなくて、何度も先公にビンタ食らったよ」

アイスコーヒーが2つ、テーブルに置かれた。

「隠すとアンタが気の毒だから、洗いざらい本当のことを教えてやるよ」

そう言って宮下クンはアイスコーヒーのグラスを手にとると、そのまま一気に半分ほど飲んだ。
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