いとしのポテトボーイ
「西中狩りって本当なの?」

教室の中がますます騒がしくなった。

西中狩りとは、西山中学の出身者ばかりを狙って襲うというもので、その呼び名は、一時
流行した「オヤジ狩り」から由来するものだ。

「わたし、先生に知らせて来る」

ゆうチャンが出て行った。

わたしもじっとしていられなくて、雪沢クンを追ってしまった。

東門の斜め向かいにある公園に彼らはいた。

「宮下やったの、オマエだろ?」

と、青いガクランのひとりが雪沢クンに言った。

「頼むよ雪沢。俺たち、もう何もしないから、だから見逃してくれよ」

4人はいきなり地面に座り込んで頭を下げた。

「やめろよ」

雪沢クンが手前の男の子を引っ張り起こした。

「宮下やったの、俺じゃねえよ」

「あ? 本当か?」

「なんで宮下がやられたのか、さっぱり見当もつかねえよ」

4人はホッとしているようだった。

何より、わたしが1番ホッとした。
< 178 / 202 >

この作品をシェア

pagetop