いとしのポテトボーイ
「あ、何か分かっても、雪沢クンには何も言わないで。もうそっとしておいて。お願い」

わたしが彼らにそう言って、学校に戻ろうとしたところへ、先生が数人やって来た。

「大丈夫か? 雪沢は?」

「大丈夫です」

わたしが答えた。

雪沢クンはとっくに校舎の中。

「君たちは何だ?」

先生が威厳を保つような口調で彼らに尋ねた。

「あ、この子たち、雪沢クンと同じ中学の子で、なんか、この中学の人たちが狙われているんで気をつけようって、わざわざ知らせに来てくれただけなんです」

ナゼかわたしは彼らを弁護してしまった。

「そうか」

雪沢クンは我が校の誇り。

先生たちは雪沢クンに何かあっては大変だと思っている。

「君たちも学校があるんだろ? 気を付けて帰りなさい」

先生たちはわたしの言葉を真に受けて、彼らには名前も学校名も聞かずに帰した。
 
事なきを得た今回の騒動。
 
でも、今のやりとりを目の当たりにして、やはり雪沢クンは相当怖い人だったことが実証された。

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