いとしのポテトボーイ
教室に戻ると、クラスメイトたちはまだ西中狩りの話題で盛り上がっていた。

西山中学。

横浜にある普通の公立中学だが、何度か校内暴力が表沙汰になったことのある、ちょっと評判の悪い中学でもある。

でも、勿論生徒みんなが悪いわけではなく、サッカーと剣道が強い、スポーツの名門校でもある。

「西中と敵対してたのは神崎中だよな」

「卒業生全部を襲うつもりなのかしら」

「まさか女子にまで被害は及ばんだろうに」

宮下クンは西中狩りの被害者、ということで話は勝手にどんどん大袈裟になって行った。

「本当にそうなのかな」

わたしは雪沢クンに顔を近付けて聞いてみた。

「そんなわけねえだろ」

「どうして?」

「西中に在籍していただけで、なんで襲われなくちゃならねんだよ。バカバカし過ぎる」

「でも現に宮下クン」

「通り魔にでも襲われたんじゃねえのか?」

「そのほうがよっぽど根も葉もない推測だと思うけど」
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