いとしのポテトボーイ
わたしは早く犯人が捕まって欲しい一心で、必死に手掛かりを探そうとした。
でなきゃ、雪沢クンにも危害が及ばないとは限らない。

「とっくに警察が話を聴いてるよ」

日比野クンが「手掛かりなし」みたいに両手を広げた。

チャイムが鳴った。

犯人割り出しの推理をするには、あまりに短すぎる休み時間。
 
その時、先生が雪沢クンを呼びに来た。

「俺、話すことなんかありませんけど」

雪沢クンは迷惑そうな顔をした。

「そう言うな雪沢拓也。話、聞かせてくれ」

先生の後ろから、知らないオジサンが顔を出した。
雪沢クンはそのオジサンの顔を見ると、急に目つきが怖くなった。

「ちゃんと話をしてくれないと、オマエを疑うことになるぞ」

オジサンの目つきもなかなか怖い。

「どういうことなの?」

「誰なんだ、あの人?」

雑然とするクラスメイトたち。
 
オジサンは図々しく教室に入って来た。

その後ろにもうひとり、ちょっと若い男の人もいる。

たぶん、刑事だろう。


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