いとしのポテトボーイ
「どういうこと?」

ゆうチャンはまだ現実が把握できない様子。

「でもネ、雪沢クン、今は本当にサッカーを愛しているの。本当に一生懸命なの。解ってあげて。お願い」

わたしはみんなの前で泣いてしまった。

「大丈夫だよ奈津美。だって雪沢クン、優しいし、サッカーうまいし。みんな、きっと、今までと変わらずに付き合ってくれるって」
 
真希チャンの心強い言葉。

真希チャンに励まされるなんて。

ただいつもニコニコしているだけかと思っていた真希チャン。

今まで少し誤解していたみたい。

「そうか。雪沢は安土たちのリーダー格だったのか」

わたしはみんなに雪沢クンの過去を話した。

と言っても、宮下クンたちをイジメていたことや、シンナーや恐喝なんかを日課みたいにしていたことは話していない。

安土クンたちの上に立って、ちょっと悪さをしていただけ。
どこにでもいる非行少年。
そんなふうに話した。

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