いとしのポテトボーイ
「分かってるよッ! それぐらい分かってる。だけど」

「安土クンのこと怒らないで。お願い」

雪沢クンはカウンターにパンチを落とした。
鈍い音がして、木製のカウンターにヒビが入ってしまった。

「こんなことされて、俺だけもうこれ以上サッカーなんて続けられねえよ。奈良岡や安土のこと犠牲にして、なのに俺だけがいい思いできるかよ」

「サッカーをやめるってこと?」

「続けられるわけねえだろッ。俺のために安土は殺人未遂だぞ」

「だったら何? 雪沢クンも何か悪いことするつもりなの? だったら安土クンの気持ちはどうなるの? 安土クン、何のために罪を犯しちゃったの? 雪沢クンに期待してる、学校のみんなの気持ちはどうするのッ? そんなことして、奈良岡クンや愛子チャンが喜ぶとでも思ってんのッ? 安土クンの気持ち、どうするのよッ!!!」
 
わたしはもの凄く悲しかった。
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