いとしのポテトボーイ
「え? 雪沢がいるのか?」

周囲が騒然となった。
 
何? 

雪沢クンて、そんなにサッカーがうまいの?
 
人は見かけによらない。

「西中の雪沢。北中の鷲尾が揃えば、陵徳に行った望月打倒も夢じゃないな」

北中出身の鷲尾クンて子が雪沢クンに握手を求めていた。

陵徳に行った望月。

そう、あの望月クンのこと。

世間は狭い。

ってことは、雪沢クンも望月クン並の実力者ってこと?
そうは見えないけど。

「力を知りたい」

と先輩に言われて、1年生の男子みんなが技の披露を始めた。
殆どが経験者みたいで、わたしたちもそれを見学することになった。

雪沢クンの順番が来ると、先輩たちの目の色が変わった。

スゴイ。

まるで、ボールが生きているみたいなトラッピング。
先輩相手に自由自在のパスワーク。
鮮やかなインターセプト。
そして豪快なシュート。

綺麗。

ゴールキーパーの先輩が思わず「すっげー」と唸った。
わたしも不思議なくらい感動してしまった。


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