いとしのポテトボーイ
☆・*★・・※:・★・☆

「雪沢ァ! どこにパス出してんだよ! ほかごと考えてんじゃねえぞ!」

サッカー部の主将が怒鳴っていた。

きっと雪沢クンも、奈良岡クンのことが心配なんだ。

「雪沢ァ! ボヤボヤしてんじゃねえよ! 顔洗って来い!」

雪沢クンは水飲み場に追いやられてしまった。
「スミマセン!」と言って頭を下げる雪沢クン。
カッコ悪い。
 
女子部が休憩になったので、わたしは雪沢クンに声をかけた。

「集中力が欠けてるぞ」

と、励ますつもりだった。

なのに、

「等々力センパイって、何なの?」

と、聞いてしまった。

雪沢クンは怖い顔をしたまま黙っていた。

「わたし、雪沢クンから聞いたなんて言わない。聞いても驚かない。でしゃばったマネなんてしない。だから教えて。お願い。何か知ってるンでしょ?」
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