いとしのポテトボーイ
「ゆ、雪沢クン、それ何よ」

わたしは雪沢クンが手にしているタバコの箱を奪った。
でも雪沢クンは既に1本くわえて、マッチかライターでも探しているようだった。

「やってらんねんだよ、もう! 奈良岡殺されて、愛子パクられて、オマエまで襲われて」

「だからタバコ吸うわけ?」

「だけど俺はサッカー部の期待を背負ってんだ。今の俺にはどうすることもできねんだよッ。俺にどうしろって言うんだよ」

「闘えなんて言ってない。そんなの、警察に任せたらいいことよ。ただ、安土クンを止めてあげてってお願いしてるのッ」

「それで奈良岡が喜ぶのか?」

「決まってるじゃない。奈良岡クンのカタキをとるよりも、雪沢クンがサッカーで勝つことのほうが、奈良岡クンへのおもいやりだと思うよ」
 
雪沢クンは、一旦くわえたタバコをポケットに戻した。
タバコを持ち歩いている雪沢クンにはちょっと驚いたけれど、でも今のわたしには、それを不思議だと思う余裕はなかった。
 
明日から期末テスト。

この調子だと赤点は必至。

憂鬱・・・・・・
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