いとしのポテトボーイ
雪沢クンが交差点を渡ろうとしていると、坂の上からサッカー部の主将が下りて来た。

「あ、雪沢、丁度いいや。パン屋行くンだろ。俺の分も適当に買って来てくれ」

主将は雪沢クンにお金を渡した。

「あ、あの、俺・・・・・・」

「カツサンドは入れてくれよな」

主将は「悪いな」みたいに右手を上げながら、パン屋の先の本屋に入って行った。

「雪沢クン」

わたしが追いついて声をかけた。

「どこ行くのよ? 安土クンならまだ学校にいたよ」

「・・・・・・」

「しっかりしてよ。雪沢クンはサッカー部のエースストライカーなのよ。責任持ってよ」

「オマエは安土のこと、心配じゃねえのか? 惚れてンだろ?」

「え?」

「俺なんかの心配してたら、みんなに誤解されて、イヤな思いするだけだぞ」

「誰が雪沢クンなんかの心配するのよ!」

「だったら追って来るんじゃねえよ! 俺が何しようと勝手だろ!」

「雪沢クンッ」
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