必死こいて桜姫やってやんよ!
「紀憂さん」
「…あ、ではまた。
失礼致します」
白ドレスの女性から離れ、グレーのスーツを着たオジサンの元へ。
…ん?
オジサン?
思わず擦りたくなった目をパチパチしばたかせる。
さっきの誰かようなムラのある茶色ではない、ブロンドの髪をバランスよく後ろに流し笑っている男性。
…オジサンっていうよりお兄さん、みたいな?
足も長いし、今流行りのメタボ体型でもない。
出席リストには載ってなかったはず。
…見落とした?
「お待たせ致しました。
えっと…」
「初めまして。
フラン・ダイスと申します」
一礼するその姿から上流階級の人だとわかった。
こりゃ大変、失礼な振る舞いは絶対できない、というかやっちゃいけない。