必死こいて桜姫やってやんよ!
もうなんだこの天使、かわいい。
くるくるふわふわした髪だって、赤いリボンだって、この子の為にあるような。
髪の1本1本が細くて色素が薄い感じ。
うちのこの制服だってあたしと違ってキラキラして見える。
もう一度言う、なんだこの天使、かわいい。
「紀憂さん、着きましたわ」
まだうっすら桃色の頬の彼女は高く、でも凛とした声であたしを見、にっこり微笑んだ。
「で、でぇぇ…」
かぁぁぁぁぁい。
何がって庭が。
日本庭園がでかい。
ここはホントに日本か。
日本にこんな敷地あったのか。
あ、日本庭園だから日本だ。
仮にもお金持ちのあたし。
このお宅は仮にも、がつかないガチの金持ちだ。
「こちらですわ」
やっぱり可愛いく笑いながらあたしの手をひくハンナは天使。
玄関をあがり、鶯張りなのか軋む音を気にもせず歩く。
あ、ちょっと内股。
あ、あたしちょっとがに股。
「この部屋で少々お待ち下さいな」
ちょこっと眉を垂れさせたハンナは引き戸を軽く開け、あたしが入ると礼をし、また戸を閉めた。
通された部屋…てか離れなんだけど、この部屋は今までのTHE和風とは違い、和&洋 is friendって感じ。
ネイビー系でまとめられた部屋はまるでモデルルーム。
あたしのイメージ、ハンナはピンク~なフリフリ~でラブリ~を想像していたので、かなりびっくり。
まぁ考えてみたらこの和風屋敷にそんな部屋は似合わないよな、センス抜群じゃん。
ん、でもまてよ、結城財閥ってこんな和風ゴリ押しな家風だったっけ?
それになんか…人がいない。
結城財閥なのだ、それこそ執事、メイド、侍女がいてもおかしくないのに………
と思考を巡らせた時。