必死こいて桜姫やってやんよ!
「すぱん!」
声だ。
声がしたのだ。
引き戸を開けた音じゃない。
声だ。
何故口で効果音を言う必要があるのか。
とかなんとか思ってても、
あたし、
今、
パニック。
「な、え、な…んで、」
「うるせぇ」
「…は?え、て、天使は?天使はど、こ…」
「あ?俺じゃねぇの」
…そんなわけないよね。
ちょっと冷静になったわ。
「えっと、」
目の前には着物を着た彼が。
見ない間に人相が悪くなったなぁ…。
「ま、た、ね、」
「…ん?」
「って言ったみてぇだな」
「…うん」
「俺はまたない」
ヅ キ リ
勝手に自分で言って、勝手に傷付くあたしは、なんて自分勝手なんだろう。
残酷なことを言った。
自分に返ってきただけだ。
ただ、それだけ。
瞼をゆっくり落とす。
ゆっくり開けたら、もう大丈夫、きっと大丈夫。
さぁ、開けるんだ…
――ぎゅぅ
開ける前に人肌があたしを包む。