必死こいて桜姫やってやんよ!
「え、っとさ、まだイマイチ…っつーかまったくもって状況がよく分かってないんだけど、」
目の前のソファーに足を斜めにして座るハンナに目線で助けを乞う。
今すぐこの状況を打破したい。
てかもはや逃げたい。
とりあえず膝から降りたい。
天使はあたしのこの気持ちをくみ取ったかのようにその可愛いらしい顔で微笑んだ。
「こうしてお会いするのは久方ぶりですわね、憂依さん」
「あぁ。音寧々も久しぶりだなぁ、あ?」
どうしよう、副音声で
(てめぇ勝手にどっか行きやがって連絡くらいしろよ)
っていうドスの聞いた声が聞こえる気がする。
背後が怖い、振り向けない。
冷や汗をダラダラするあたしの前、変わらず笑顔のハンナは続ける。
「私と憂依さんは婚約者ですわ」
…え、まじで。
「といっても連絡事態まったくとっていませんでしたし、今回の事が初めてですわ」
ふわっと頬を少しピンクにして言う姿。
ちょっとびっくりしちゃってフリーズした唇からでたのは
「あ、これ浮気のうちに入っちゃう?」
なんてデリカシーの欠片もない言葉でした。