必死こいて桜姫やってやんよ!
「ふふふっ公認浮気なのでOKですわ」
公認浮気ってなんだよ?
ホントに大丈夫かよ、あたし修羅場とか無理なんだけど。
「まぁそんなことは良いのですわ」
ポイッと捨てるようにその話はそんなこと、で済まされた。
えちょ、拾わなくていーの?
結構大事だと思うんだけど。
そんなこと、でいーのか、そーかそーか。
ガチなお金持ちの思考はちょっとわかんないな…
「ある日、いきなり電話がかかってきたのですわ。
お前成瀬川だったよな、拉致って来て欲しい奴がいるって。お名前をお聞きした時はびっくりしましたわ、まさか憧れの紀憂さんだなんて」
な、なんだって?
拉致?
ハンナよ、びっくりするのは拉致することであってあたしどうこうって問題じゃないよな?
「なので喜んで協力させて頂きました」
心なしか先程よりも眩しく感じる笑顔のハンナ。
なんてことだ、君は天使じゃなくて悪魔か、悪魔だったのか。
「って事はさっきうちの人に言った言葉は…」
「もちろん嘘ですわ。ここは結城家ではなく、」
「霧生家だからな」
―――ここで冒頭に戻るわけだ。
「も、もぉぉぉおお…」
嘘だろ、嘘だと言ってくれ。
頭を抱えたい衝動に駈られるが背中の重みがそれを邪魔をする。
「牛乳飲みたいのか」
「なに言ってるの?」