必死こいて桜姫やってやんよ!
霧生家は結城家に次ぐ由緒ある家だ。
しかし華やかな表にはなかなか顔を出さない。
今や桐生建設なんていえばその世界で知らない人はいないというのに。
いつも表に出るのは分家の桐生であって霧生ではない。
そこまではこの世界を生きるあたし達は皆知っている。
でもその後についての真実を知る人は極僅か。
だからこそ、あたしは憂依の事を知らないのだ。
極僅か、の中に紀憂家はいない。
「私のお祖父様と、会長…憂依さんのお祖父様は幼馴染みですの」
なんと結城家と霧生家はまさかの馴染み関係。
おそらく婚約者だのなんだのもそこからきているのだろう。
「元気なのか」
「毎朝ラジオ体操するくらい元気ですわ。
会長こそ一時療養するとお聞きしましたが…」
「ただのぎっくり腰。
早く隠居しろってのにまだ居座ってやがる」
「ふふふ、心配なのですわ」