必死こいて桜姫やってやんよ!
あたしは今何も聞いてない。
聞いてないよ、本当だって。
会長っていうのはほら、アレだよ、桐生建設の会長でしょ、そうでしょ?
隠居ってあはは、そんな水戸黄門みたいなこと、あるわけ…
「今はお父様が霧生組を仕切ってなさるのでしょう?
憂依さんはどうしますの?」
「…別に立場に興味はねぇ。
守りたいモノを守れりゃ、な」
さわさわ、あたしの短い髪を撫で付ける。
…嘘でしょう。
ハンナの可愛い口から仕切ってる、なんて言葉が出るなんて。
大きな手があたしの髪を弄んでいるのだって今はどうでもいい。
感じてない訳ではなかった。
けど信じたくなかった。
いや、可能性のひとつとしてしか考えていなかったのだ。
だって、あまりにも。
あまりにも、彼は
「…ん、お前少し太った」
デリカシーがないうえに変態すぎるから。