必死こいて桜姫やってやんよ!




「ふ、太ってねーよ!」


「や、でもなんか肉付きが…」


「けっ!」


「ってぇ…」



あたしの腹をむにっと掴む憂依に殺意を覚えて後ろ手に腹を摘まんでやった。力強く。



まぁ確かに!

ずっと車移動だし?
マンション籠りっきりだったし?

ちょーっとスカートの調節を一段階緩くしたりとかしましたけど?

けど言うことないじゃん?

てか普通気付かねぇよ!


つーかこいつ腹の肉そんなになかったわこんちくしょう!




「羨ましいですわ…」




ぽそ、と小さく。

本当に小さく、思わず漏れたため息のように、聞こえた。



痛さを緩和しようと必死に腹を擦っているこいつは聞こえていない。


…やっぱりこれは浮気の一部に入るよな。


あたしだって自分の婚約者と他の女が腹揉み合ってたら好きだのなんだのぬかしてもいい気はしない。

嫉妬とかではないにしろ、な。



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