必死こいて桜姫やってやんよ!




「憂依、少し離して」


「え」


「離せや」


「え」


「こ、の、う、で、を、は、」


「な、さ、な、い」


「もうやだこいつ」




ハンナは大丈夫だろうか…とそっと見ると、先程の悲しい顔は気のせいだったのかというほどクスクスと可愛く笑っていた。


…ほんとに気のせい、だったのかな。




「紀憂さん、私そろそろおいとま致しますわ」




笑い終えたハンナは座っていたソファーから優雅に立ち上がり、変わらず可憐な笑顔であたしを見る。


あたしが口を開く前に後ろの男がハンナを呼び止めた。




「……、」


「ふふ、心配なさらずとも大丈夫ですわ」


「…そうか」


「相変わらずですわね、憂依さんは」




頬をピンクに染めて、今日一番の可愛らしさを発揮したハンナはまたあたしに向き直って。




「紀憂さん、憂依さんのお祖父様は太楼会会長、お父様は太楼会系列霧生組組長ですわ」


「う、うぇ?」




おいおい、筋金入りのやーさん一家じゃないか。

だろうな…とは思ってたけど思ったよりもだいぶ格上じゃないか。




「私は結城財閥のご令嬢ですわ。
私の方が絶対役に立てますし、魅力的だと思いますの」


「お、おん…」



どうしよう、これから修羅場な香りがプンプンする…



あたし、ピンチ!




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