必死こいて桜姫やってやんよ!




「な、なんだって?」



憂依ではなく私を選んで…とかなんとか聞こえたような。

あたしの聞き間違いかもしれない。
や、そうに違いない…




「私を選んで下さい!」




…ワケないですよねー!




「い、いきなりどうした…の、ハンナ?」


「だってだって!ずっと見てきたんですもの!
いきなり横から奪われるなんて…あんまりですわ」


「えっ…と、それは憂依を、ってこと?」


「違いますわ、憂依さんなんて興味ないですもの」




おーい、婚約者なんじゃないのか。


ホラ見ろ憂依泣きそうな顔してる…ってまじで落ち込んでるじゃん。




「お前…心配するなっつったじゃねぇか」


「えぇ、紀憂さんは私が守りますのでご心配なさらず、と」


「あぁ?コイツはおれが預かってんだよ」


「ではお返し頂けますか?」


「お前のじゃねぇだろ、俺のだ」


「いやお前のでもねぇよ」




あ、いけね、思わずツッコンじゃった。


でもとりあえず落ち着こう、落ち着こう。

とにかく落ち着こう。




「あのな、話が全然分かんないんだわ」




イチから説明頼むわ



首を傾けながら言えば、ハンナが目の前まで来てしゃがんであたしの手を握った。





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