必死こいて桜姫やってやんよ!




心臓が痛い。

ぎゅ、と握られたみたいに。


でもそれは不快な痛みではなくて、かといって心地好いわけでもなくて。




「お前を手に入れてお前の全てを奪って。俺は安定した毎日を…いや、幸せな毎日を送る」



「逆にお前は辛くて苦しい毎日になるかもしれない。俺が傍に()ることでお前も闇から出れないかもしれない」



「だとしても。」




目から一筋涙が落ちる。

クリアになった視界に見えた憂依の瞳が、あまりにも優しくあたしを映すから。


また再び、涙が溜まっていく。





「…あたしが欲しい?」


「あぁ」


「どうしても?」


「どうしても」


「仮にあたしが辛く苦しくなるとして…その毎日の中であたしには良いことはあるの?」


「…俺に会えるぞ」




別にそれはどうでもいいかな。


思わず涙も引っ込んだわ。



それを察した憂依が少し焦った顔で次の案を出す。




「学校まで車で送ってやる、なんなら迎えも」



「アッシーなら間に合ってます」




真顔なあたしに対して、焦る(プラス)困った様な顔をした目の前の美形くんは少し考える素振りをした後、




「毎日、お帰りって言ってやるよ。
なんならその逆もあるしなんと今ならハグ付きだ」




お得だろ?



と優しい声色であたしをオトした。




「…それなら良いかも」




毎日、そう言ってくれるならそれだけで確かに頑張れそうだ。

しかもドストライクな筋肉の抱擁付き。




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