必死こいて桜姫やってやんよ!




憂依の膝にゴロンと寝転がり仰向けになると彼の綺麗な顔がこちらを向いていた。


二重顎なんて言葉を知らないキレイなライン、高い鼻。
そして形の良い薄い唇を震わせて彼は言った。




「拒否権はねぇけどな」


「だろうね」




お前を手に入れて俺は幸せな毎日を送る、だぁ?自己中…いや唯我独尊にも限度ってもンがある。


文句を言ったろうと口を開く。



ちゅ



口を開く、いや開こうとした。

過去形である。


なぜならあたしは見事なまでにフリーズしてしまったからだ。

彼の薄いソレとあたしのソレが一瞬触れてしまったがために。


そう、所謂(いわゆる)接吻をしてしまったために。


思考停止、固まったまま至近距離の目と目が合わさる。




「ふ、変な顔」




息が吹きかかる程、直ぐにでも頭突きができる距離にいたけど、そうはせずに憂依の腹に顔を埋めた。


その綺麗な顔が…片眉を下げて笑った顔が今までで一番自然だったから。



体制を変えてあたしは更に強く彼の顔に埋める。


じんわりと温かかったのは憂依の腹。

きっとあたしの顔じゃない。




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