必死こいて桜姫やってやんよ!
ドアを開けて隙間から中を覗く。
…異常無し。
よし、入ろ。
「Black star~Black star~…」
鼻歌通り越して普通に歌いながらキッチンに向かい手を洗う。
ピカピカになったところで目に入った炊飯器。
…まさかな。
…まさかよ。
そうだよ、まさか、そんな事あるわけ…
はっはっはっとひとりでに笑いながらボタンを押して蓋open。
「……。」
蓋close。
「“……。”じゃねーよ何やってんだてめーわ」
まるで芸人さんが受けるハリセンの如く頭にスパンと衝撃。
見上げれば憂依が呆れた顔でこちらを見下ろしていた。
「せやで、何か言うことあるやろ!感動の再開やんか!」
「あ、やっほ、たでーま」
叩かれた頭を押さえながらもう片方の手を挙げて灰に挨拶。
「かっる!軽すぎん?!」
「そうだよー音寧々が来るのスゲー楽しみにしてたのにーー!」
「た、か、らー!ただいまぁ!」
ソファーに近づいて高羅に抱き着いちゃう。
実はあたしが部屋に入ってきた時から皆はすでにいつもの定位置に座っていらっしゃったのだ。
下で感動しまくりの再開(主にペット達)をしたから皆には軽くで良いかな、なんて思ったり。
けどやっぱ高羅可愛いわ、ぎゅー。
「俺の扱い雑すぎん…うぎゃっ」
「音寧々、おかえり」
何かぶつぶつ言ってる灰を足蹴に翔龍桜の良心、大和がにっこり爽やか笑顔で言ってくれた。
「大和兄さんただいま。…その頭どったの」
「…秘密」
語尾にハートマークをつけた大和兄さんの頭は赤髪刈り上げマッシュになっていた。
や、似合わないとかじゃない。
むしろカッコいいのだが、今までとの差が激しくて衝撃よ、だいぶ。