【短】カラフルな恋物語
one color.マフラー
* *
ガタン、ガタン、ガタン。
少し古びた路面電車に揺られて、窓の外をぼうっと見つめてみる。
自宅からはだいぶ離れた図書館への道のりは、相変わらずで。
私はいつも、この窓から外の風景は、ゆっくりと流れているような気がしているんだ。
だから、勘違いしてしまう。
目を細めてしまう。
きゅっと、奥歯を噛む。
あれから、もう、六年だなんて。