【短】カラフルな恋物語


「ちょ、待て、なっ」


いきなり泣きだして、ひどく焦った彼は、落ち着かせようととりあえずあたしの肩をつかんだ。

でも、その手をおもいっきり振り払う。



「別れよ」


さっきはあんなに言いたくなかった言葉が、あっさりと言えてしまった。

なぜだろうか、荒ぶっているからだろうか。



「何、言ってんだよ」

「もう嫌なの、限界なの」




「…あたし、知ってるんだから。

いつもいつも、誰とメールしてるのか、全部知ってるんだから」



一ヵ月くらい前。

駅前で見かけた、

自分の彼氏と見知らぬ女の子が腕組んで歩いている光景。


やきついて離れない。




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