【短】カラフルな恋物語
彼と付き合うことで、確実に変わってしまったあたし。
憶病で、弱虫で、意地っ張りで、頑なで。
ひび割れたのはあたしだった。
いつの間にかてんびんが、あたしの方が重くなって、どんどんその重みを増して。
「ごめん。ほんとごめん」
もう戻れないことを悟った。
ホントに申し訳ないときにする、彼の泣き出しそうな顔。
同時に、彼はあたしに対して誠実だったことも悟った。
そして、彼もまた、憶病だったんだとも。
涙はもう出てはくれなかった。