【短】カラフルな恋物語



電車を降りて、コツコツとヒールを鳴らす。

不得意だったはずなのに、もう今じゃヒールは私に馴染んで。



図書館への道、それは桜の並木道。

たった、100メートル弱の並木道。

春になると、満開になる、ココの桜。


私は一番、ココを歩くのが大好きだった。


二人、手を繋いで、雪みたく降ってくる花びらを、つかまえようとしてみたり。

髪の毛に絡んだ薄ピンク色に、やわらかく目を細めてみたり。

「桜もち食べたいなぁ」なんて話題になったり。


こっちにも、あっちにも、

この100メートルに思い出がたくさんありすぎて。




< 2 / 28 >

この作品をシェア

pagetop