【短】カラフルな恋物語
電車を降りて、コツコツとヒールを鳴らす。
不得意だったはずなのに、もう今じゃヒールは私に馴染んで。
図書館への道、それは桜の並木道。
たった、100メートル弱の並木道。
春になると、満開になる、ココの桜。
私は一番、ココを歩くのが大好きだった。
二人、手を繋いで、雪みたく降ってくる花びらを、つかまえようとしてみたり。
髪の毛に絡んだ薄ピンク色に、やわらかく目を細めてみたり。
「桜もち食べたいなぁ」なんて話題になったり。
こっちにも、あっちにも、
この100メートルに思い出がたくさんありすぎて。