君がくれた5のこと
その次の日、私とお母さんと弟は家を出た。
お父さんはそのことをきっとうらんでいる。
私たちが出ていったからじゃない。
おじいちゃんの遺産がじぶんの目の前から無くなったからだ。
お父さんはそれからどうやっていきていったのだろう。
働かず、お酒やパチンコばかりしていたお父さん。
お金なんて、あるわけない。
お母さんのお父さん、つまり、私のおじいちゃんはある有名な会社の社長だったそうだ。
私が生まれてすぐに死んじゃったからほとんど覚えていない。
死んじゃった後、遺言書を読むと、
『一人娘のお母さんに遺産をすべて渡し、会社は親しい友人に譲る』
と書いてあったそうだ。