手の中にある奇跡
「おはようございます。」

店の裏口から中に入ると柳店長が開店準備をしていた。

「おはよう、今日は何かあんのか?」

柳店長が言っている事は私の服の事だとすぐに分かった。

もう3年の付き合いになる…
柳店長曰く、今の私は昔に比べ角が無くなって丸くなった…らしい…


まぁ…解らなくもない…

【Y's】に来たての頃は…
ある意味、荒れてたからなぁ…
柳店長にもよく、たてついてたからな~

「今日は笠原マネージャーが来られるからです。」

タイムカードを押しながら疑問に答える。

「川之江社長のお供だろ。」

「は?」

私は柳店長の言葉に開いた口が塞がらなかった。

「だから~本社から川之江社長が視察にくるらしい…理由は知らんがな…」

掃除用具入れにモップを仕舞いながら、そんな連絡が来たと話す柳店長…



「じゃあ…夕飯は無しか~」

嬉しさ半分…残念半分

笠原マネージャーには毎回、美味しい店に連れて行って貰えるから、何気に楽しみにしていたんだけどな……












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