手の中にある奇跡
店に入るとスタッフが礼儀正しく挨拶をしてくる。
まぁ、その後には黄色い声も届くが気にしない。

店内は無駄な照明がなく、窓から太陽の光が充分に届いている。

小物の配置もなかなか、センスが良い

花瓶には目立ち過ぎずに匂いもきつくない花が生けられている。

「久しぶりに此処にきたが、だいぶ雰囲気が良くなっているな。」

「はい、スタッフが色々話し合いをして、より良い店作りに力を入れてくれています。」

たしかにスタッフ同士の雰囲気も良い、無駄な動きはなく、それぞれが分担しているのが一目でわかる。

ふと、パソコンに向かっている、橘 穂香の姿が目に入った。

近づいて、耳元で話すと予想以上に驚いている彼女の姿に、申し訳なくなった…






多分…無意識だろう…





その指先の震えも…











その瞳に僅かに見える涙も…












何故か…強く印象に残ってしまった…












すぐに元に戻っていたけれど…
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