手の中にある奇跡
そして、田中さ…社長に練習台になってもらい、渡辺さんの研修を始める事になった。

「フットの基本が終わった所だから、復習してみましょう。」

「はい、ではズボンの裾をま「ストップ!」」

「…ぁ、すみません。着替え「ストップ!」」

「…っ…ぁ、申し訳ありません。着替えをお願い致します。」

「何故、お着替えをしてもらうんですか?」

「ズ、ズボンが皺に…」

「ジーンズでご来店のお客様は?」

「あ、ぁ、えっと…」

「一番最初から説明した時にメモを取っていませんでしたね?メモを取るよう説明したと思うんですが?最初から頭に入っていないんですか?」

「だっ…て前の店では、「柳店長の所へ行って下さい。」」

その言葉に目に涙を浮かべて出て行った渡辺さん…

はぁ~ため息しかでない…

「クス」

「何でしょう?」

社長がベッドの上で笑いを堪えている。

何かしたっけ?

「いや、なかなか良い勉強させてもらったよ。」

笑いすぎて涙が溜まった目尻を拭いながら、誰もが見惚れてしまう笑顔を振り撒かないで頂きたい。

「そうですか…」


結局研修は出来ず、柳店長に聞けば3人共、辞めるらしい…忍耐がないな~
と思いながら、お昼になったから、休憩室に向かった。
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