恋する×秒前
「だから、なんですか?」

 めんどくさい人。

「家に帰りたいのですが」

 なぜか腕を掴む力が強くなる。あぁ、早く帰りたい。

「あのさ、せめて話最後まで聞いてくれないの?」
「聞かなくても、別にいいでしょう?聞いて私にメリットあるんですか?」

 風間俊の顔が引きつる。もう別にさん付けとかもどうでもいいや。

「あのさぁー、メリットとかさぁ、そういうの気にするの?」
「どうでもいいですけど、明日にしてくれません?急いでいるので」
「はぁ?」

 さらに俊の顔が引きつる。

「マジで待てって!」

 待って何の意味があるのだろう。

「おい!」

 別に俊とかと関わりがあるわけでもない。自分はいつもと同じように歩いて家に帰った。
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