恋する×秒前
「えっと、中学が一緒で、その時、一目惚れっていうか。元気がよくて、クラスで1番可愛くて、周りの女子とは違うようで・・・」

「なんか今とイメージ違うな」
「だね。なんか嘘に思えてくる・・・」

 結構聞こえてるよー。

「ぜんぜん中学の時会えなくて、ムリかなって思ったけど、高校で同じクラスになって、今もなかなか話せなくなって・・・だから・・・」
「・・・中学一緒でしたっけ?」

 思わず口に出した疑問。クラスにいた人を思い出しても、どうしても顔と名前が出てこない。

「え゛・・・覚えてない・・・?」
「全く。あと返事はいいえで」

 教室の中が静まる。早く帰りたい。なんか視線が痛い。とりあえず視線をケータイに戻す。
 さすがに先生が喋りだす。まさかの展開だったから。

「えっと、とりあえず今日はもう解散で」

 最初に立ったのはもちろん自分。静まり返った教室を出た。


< 7 / 18 >

この作品をシェア

pagetop