あの日の僕は。
「そう」
僕に言わせるだけで終わるなんて絶対嫌だ。
海里は頬を照れ臭そうにポリポリ掻きながら、
「俺は……全国で活躍する陸上の選手になりてーかな!」
キラキラした笑顔で言った。
けなしてやろうと思ったけど出来なかった。
こんな真っすぐな瞳、僕は持っていない。
少し、羨ましかった。
「なれるよ」
「そーかな?」
「うん。僕が保証する」
「……おうっ」
修学旅行は不思議だ。
普段言えないことがすんなりと言える。