あの日の僕は。



「……」



「俺以外の奴は自己ベストとか更新してるしさ。で……」




僕は何も言わず、海里の話をただ聞いていた。



「怖かった。このままの状態で大会に出るのが。他の奴らに追い越されんのが」



海里は力無く笑う。






そうか。



海里も海里で、やっぱり悩んでたんだ。











「笑えるよな、こんな弱虫がエースなんて」


「別に笑えない」




僕は、はっきりと言う。





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