あの日の僕は。



「僕から見たら、そんなのくだらない。でも、海里からしたらきっと大きな悩みだと思う」



「陸也……」



「いいんじゃないの、それで」


「え?」



「追い越されそうでいつも必死で、苦しくて。それでいいんだよ」



「…………」



「みんな海里を追い越したいに決まってる。1番になりたいって思ってる」





僕はひとつひとつ丁寧に言葉を紡ぐ。



こんなに自分から語るなんて、初めてだ。




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