あの日の僕は。
陸部の人達は、ピッという笛の音と共にすごいスピードで走っている。
腰の高さが一定だ。
「陸部、全員はえーなぁ」
ボソッと卓志が呟いた。
確かに、全体的にレベルが高い気がする。
しかも大会前のせいなのか分からないけど、心なしかピリピリしているような……。
こんな中じゃ海里が焦るのも仕方ない。
「で、めっちゃ速いヤツってのは誰?」
僕がそう聞くと、
「あれ。今走ったヤツ」
卓志はハードルを飛び越えてる奴を指さした。