あの日の僕は。



僕は本当に視力がいいと改めて思った。


観客席へ上がる階段を二段飛ばしで進み、


「海里っ」


海里を呼んだ。



すると海里はすぐに気付いて僕に近づいてくる。




「陸也!どこ行ってたんだよ!急にいなくなるから俺めっちゃ心配して……」



「海里」


僕は海里の言葉を遮り、まっすぐ海里を見た。




「な、なんだよ」



海里は僕が急に真面目な顔になったのを感じ、少しうろたえている。



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