あの日の僕は。
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『位置について……』
銃声の音がなり、海里と他の選手がいっせいに走りだす。
僕は観客席の柵に寄り掛かり、食い入るように見ていた。
「海里、大丈夫よね」
海里のお母さんが不安そうに呟いた。
「大丈夫ですよ」
少しすると海里は他の選手に差をつけ、一番最初にゴールテープに触れた。
「1位だ……スゴ」
海里がこっちに向かって手を振る。
僕と海里のお母さんもつられるように手を振った。
さっき曇りが嘘のように空は晴れ渡り。
風がどこか心地よい。