あの日の僕は。
「俺達は顔も同じ、歳も同じ、声もだいたい同じ」
僕は黙って海里の話を聞いた。
「違うのは――状況、つまり存在する環境だけ」
存在する環境……。
「俺達は入れ代わって互いの生活をする。簡単だろ?」
「……僕は海里として、海里は僕として暮らすってこと?」
「そう」
……これから僕が歩むハズの人生を海里が歩む。
確かに、人生交換といえる。
「陸也は家出をしている。それは今の生活が嫌になったからだろ?」
僕は黙って頷いた。
「俺もこの生活に飽きてきた。やってみる価値はある」