あの日の僕は。



眼鏡は黒ぶちで、なんだかダサく見える。


僕も眼鏡は似合わないってことか。


そのダサい感じが気に障らなかったのか、


「今回は許すけど、次やったら分かってるわよね?」


「……うん」


平手打ちで済んだ。


ホッと胸を撫で下ろす。


「じゃぁ部屋に行ってるね」


母さんの返事も聞かず、階段を上がった。


部屋に入った途端、海里は眼鏡を外した。


「怖いな、陸也母!」


「いつもだから。頑張って」



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