あの日の僕は。
「……鈴木くん」
小さな声が聞こえた。
僕を呼んでる?
「鈴木くーん」
「あ、松川」
呼んでいたのは松川だった。
おとなしめなのに授業中話しかけてくるなんて。
珍しいおとなしめな人だ。
「……大丈夫?」
「何が?」
「なんか、具合悪そうだったから。心配で」
「俺は全然元気だよ?」
ニッコリ笑って言った。
「そっか……」
松川は恥ずかしそうに、
「ゴメン、私の勘違いみたい。よかった」
微笑んだ。