If〜桜龍の彼等〜【完】
しばらく歩いた私は公園に入った−−


砂場には誰かが忘れて行った小さなスコップ


私もこのスコップみたいに忘れられていく存在なのかもしれない


最初は物珍しくても、いつかは片隅に追いやられ誰にも気付かれない


そのうち記憶の中からも追いやられ忘れられていく


誰かに必要とされる事も、深く記憶に残る事もない


気が付けば自然と涙が溢れていた


いつからだろう…


こんなにも1人を寂しく感じるようになったのは…


ライトを失った時、一生1人ぼっちでいいと思ったはずなのに…


大切な人がいなければ失う辛さを味わう事もない


そう思っていたはずだったのに…−−



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