不器用な愛を。【短】
海の我慢や哀しみに、1番気付くべきだったのは私なのに。
『もう俺は華を抱きしめることだってできるって、知ってた?』
海の腕があんなに力強くて
海の胸があんなに広くなっていたなんて
私は全く知らなかった。
気づこうともしなかったんだ。
『聖斗さんにベタ惚れなのは分かってる』
私はいつでも聖斗のことしか考えずに。
『壊したいわけじゃない』
海に頼ってばかりで。
『でも、もうこの関係はキツすぎる』
どれだけ海を傷付けたんだろう。
『華。はっきり、俺を振って』
そこから逃げ出した私は今、聖斗に言葉を求めてる。