黒騎士さんを愛してる〜Dead end love〜
トントンと、靴が落ち着いたリズムを奏でる。
更衣室のロッカーから
上着とタバコをとって、またさっきの通路を歩いた。
「じゃ、優太。俺帰るから」
まだ入口のところでタバコを吸っている優太に声をかけて、店を出た。
「うっす。お疲れっす」
優太の威勢のいい声を背に、見慣れた街に出る。
下品なんだか上品なんだかわかんない、キラキラした街。
眠らない街。
夜中だからか、妙に澄んだ空気に包まれる。
歩く人はみんな、自分を綺麗に着飾って、周りなんか見てない。
空気がいつもより澄んでいることにも気付かない。
俺は、そんなことを考えながら
道を通る人々を見渡した。
その時、俺の視線は、ある一点にくぎづけになった。