黒騎士さんを愛してる〜Dead end love〜

「ねぇ、名前は?」

不思議なベールに包まれた美しい彼女を、もっと知りたいと思った。

「そんなの…捨てた」

でも、彼女は悲しくそうつぶやいた。

焦点を合わせないで。

「そっか。家は?」

「ある。一人暮らし」

無表情なままの彼女は、まるで
よく出来た人形みたいだった。

「じゃあ、何してんの?」
「月…見てる」

そういえばずっと、彼女の視線は向こうに注がれてたかもしれない。

「月になりたい」

そう言って初めて彼女は、頬を緩ませた。

「ふーん」


















< 8 / 18 >

この作品をシェア

pagetop