14日の憂鬱
「……美奈」


「…えっ?」



加奈子の呼びかけにハッとして、すぐ前に向きなおす。



すると今度は加奈子が、私の手を握ってきた。


「いいの…?」


「……何が?」



みんな大体食事を済ませ、話し声が大きくなる。


教室の入り口は出入りも激しい。


そんなざわめきのなか、加奈子はポツリと言う。





「永井のこと」





「……」


私は思わず口をつぐんでしまった。



「どーして…?」



「どーしてって…。永井のこと…気になってるんでしょ?」



「そ、そんなこと…ないよっ」





加奈子の真剣な表情をよそに、私はそんなバカなぁと笑う。


「美奈…。この前のこと、気にならないの?」


しかし加奈子は、そんな私の冗談っぽい切り替えしにも変わらず、真剣な表情を崩さず尋ねてきた。




この前のこと。




気にならない……わけ、




ないじゃん。







その言葉に私は、もう笑って返すほどの余裕はなかった。

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