14日の憂鬱
「いい? メンバー全員と、先生にチョコ渡すんだからね」





2階への階段をのぼりながら、加奈子は私の横で話し続けた。







「うん。わかったよー」


「…ホントに分ってる? 放課後部室に集まって、だからね!」


「うんうん。わかったよー」





本当に暖房入ってるのかと思うほど校内は寒く、私はポケットに手を入れながら同じ返事をした。





「……美奈っ!」



すると突然、加奈子が私の肩をぐいっと引き寄せる。



思わず歩みを止め、私も加奈子の顔を見た。



「な、何っ」


加奈子の力強さに少し驚いてしまう。




しかし、加奈子の目は、私の肩を引き寄せた力強さとは反して、少し怯えた様子だった。



「……加奈……、先輩にその後…告るから…」




そう言うと、加奈子はそのまま俯いてしまった。





私もつられて黙ってしまう。



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